桃太郎伝説を知るんじゃ! 桃太郎伝説を知るんじゃ!
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桃太郎伝説を知るんじゃ

桃太郎伝説

いにしえに吉備と呼ばれた岡山。この地には吉備津彦命きびつひこのみことによる温羅うらと呼ばれた鬼を退治した伝説が語り継がれ、昔話の「桃太郎」の原型になったとされる。
戦いの後、勝利したみことは巨大神殿に祀られ、敗れた温羅の首はその側に埋められ、この地で吉凶を占っている。鬼退治伝説は古代吉備の繁栄と屈服の歴史を背景として生み出され、伝説の舞台となった吉備の多様な遺産は、今も訪れる人々を神秘的な物語へと誘ってくれる。

温羅とは

昔話の「桃太郎」に出てくる鬼こそ、「温羅」である。
命がはねた温羅の首は、夜になると不気味なうなり声を上げたため、命は御釜殿の釜の下深くに埋めたが、それでもうなり声はおさまらなかった。
何か伝えたかった真実や無念があるのではないか・・・

桃太郎伝説を探求

白山神社の首塚
白山神社の首塚

温羅との戦いに勝利した吉備津彦命が温羅の首をはね、串にさしてさらしたとされる場所。 伝説では、晒された場所は首村といい、それが現在の岡山市首部の地名の由来とも言われている。
岡山市北区首部236

吉備津彦神社
吉備津彦神社

桃太郎のモデルとされる吉備津彦命を祀る神社であり、備前国の一宮として建立されあつく信仰されてきた。また、境内には温羅を祀る温羅神社もある。
岡山市北区一宮1043

吉備津神社
吉備津神社

備中国の一宮で、主祭神は「大吉備津彦命(吉備津彦命)」。境内には、矢置岩や御竈殿など伝説ゆかりの文化遺産が残されている。全国唯一の建築様式「吉備津造(比翼入母屋造)」が見事な本殿と拝殿は、国宝に指定されている。
岡山市北区吉備津931

吉備の中山
吉備の中山

吉備の中山は『古今和歌集』や『枕草子』にも登場する有名な山である。伝説では戦いの際に吉備津彦命が布陣したと伝えられている。吉備の中山の頂上には、全長約105mの前方後円墳。中山茶臼山古墳がある。伝説では「大吉備津彦命墓」といわれ、現在は宮内庁の管理となっている。
岡山市北区吉備津

楯築遺跡
楯築遺跡

弥生時代後期に築かれた墳丘墓で、その大きさは全国最大級である。頂に建つ5個の巨石は、温羅伝説の中で吉備津彦命が温羅との戦いで築いた楯の跡と伝えられている。
倉敷市矢部

楯築神社の旋帯文石
楯築神社の旋帯文石

楯築遺跡の上にある楯築神社、その御神体が旋帯文石である。石に刻まれた帯状の文様は弥生時代の優れた彫刻技術を物語っている。また、伝説の中で吉備津彦命が空飛ぶ乗り物として使っていたとも言われている。
倉敷市矢部

鯉喰神社
鯉喰神社

鯉に化けて逃げる温羅を、吉備津彦命が鵜になり捕まえて食べた場所とされる神社。実際は弥生時代末期の墳丘墓。
倉敷市矢部109

矢喰宮
矢喰宮

温羅伝説の中で、吉備津彦命と温羅の射た矢が空中で衝突し、落下した場所に祀られた神社。神社の境内には温羅が投げたと伝えられる巨石も残されている。
岡山市北区高塚108

鬼ノ城
鬼ノ城

温羅伝説の中では温羅の居城と伝えられている、城内面積約30haに及ぶ巨大な古代山城。その威圧感は難攻不落の要塞として迫力満点。
総社市奥坂

血吸川
血吸川

鬼城山を源流とする川で、温羅伝説では吉備津彦命との戦いで傷ついた温羅の血が流れて真っ赤になったと伝えられる。
岡山県

鬼の釜
鬼の釜

伝説の中で、温羅が生け贄となった人々を茹でる際に使っていたとされる釜である。しかし実際には鎌倉時代の重源が人々のために作った湯釜だと考えられている。
岡山県総社市黒尾

吉備津神社の鬼面
吉備津神社の鬼面おにめん

吉備津神社に伝わる鬼の面。16世紀頃に作られたと言われている。額の角は失われているが、伝説の鬼の姿を想像させる。
※岡山県立博物館で保管 通常非公開
岡山県岡山市北区吉備津931

矢置岩と矢立の神事
矢置岩やおきいわ矢立やたて神事しんじ

吉備津神社には、戦いの際に吉備津彦命が矢を置いたとされる矢置岩がある。神社では現在、毎年1月3日に矢立の神事が行われている。
天高く矢を射る神事の様子は迫力があり、矢は伝説に語られる温羅の元に飛んでいったかのように感じられる。
岡山県岡山市北区吉備津931

吉備津宮勧進帳
吉備津宮勧進帳きびつぐうかんじんちょう

吉備津宮勧進帳は1583年に成立した吉備津神社の記録。中には吉備津彦命が鬼を退治した伝説について書かれており、少なくとも、当時には桃太郎伝説が存在していたことがうかがえる。
これこそが、桃太郎の鬼退治を現代に伝える最古の文献。
※通常非公開
岡山県岡山市北区後楽園1-5

備中国大吉備津宮略記
備中国大吉備津宮略記びっちゅうこくおおきびつのみやりゃっき

江戸時代後期に成立した吉備津神社の由来が記された文書。桃太郎伝説についても記されており、「温羅」の名が登場する。
温羅は後に吉備津彦命の家臣になったとの記述も。
岡山県岡山市北区丸の内2丁目6-30

吉備津神社御竈殿
吉備津神社御竈殿きびつじんじゃおかまでん

吉備津彦命に退治され、切り落とされた温羅の首が釜の下に埋まっていると伝えられている。死後、温羅は釜を鳴らして吉凶を占うようになった。現在も、御竈殿では鳴釜神事が行われている。
岡山県岡山市北区吉備津931-3

上東遺跡出土の桃の種
上東遺跡出土の桃の種じょうとういせきしゅつどのもものたね

上東遺跡は弥生時代の遺跡。ここからは9,606個もの桃の種が出土した。これは全国でも珍しい量で、古くから岡山と桃が深く関係していたことが伺える。
古くから桃は魔除けの役目もあり、鬼退治の伝説とのつながりを想像させられる。
岡山県岡山市北区西花尻1325-3

特殊器台
特殊器台とくしゅきだい

弥生時代の吉備地方で、葬送の祭りに使用された土器。特殊な文様があり、当時の吉備の独特の文化を物語っている。楯築遺跡や鯉喰神社等で出土しており、円筒埴輪の祖型とも考えられている。
岡山県岡山市北区後楽園1-5

鳴釜神事
鳴釜神事

吉備津神社の御竈殿で取り行われる神事。温羅の妻、阿曽媛が米を炊くことで温羅が釜を鳴らし、その音で吉凶を占う。釜の下には温羅の首が埋まっていると言われている。
岡山県岡山市北区吉備津931-3

吉備津神社境内古図
吉備津神社境内古図

吉備津神社境内古図には鬼城山、楯築山、鯉喰宮、血吸川、矢喰宮などの伝説ゆかりの地が描かれている。古くから吉備津神社が伝説を重視していたことが分かる。
岡山県岡山市北区吉備津931

岡山の桃
岡山の桃

古くから鬼は桃を恐れると言われている。これは、鬼を退治する桃太郎にも関わっていることが想像される。気候風土に恵まれ、桃の産地として有名な岡山で桃太郎伝説は育まれてきた。

きびだんご
きびだんご

岡山を代表する銘菓。桃太郎が鬼退治の際に犬・猿・雉に与えたきびだんごがモチーフとなっており、江戸時代には吉備津神社の門前で売られていた。
「吉備」と言う地名は、「黍」に由来しているという説がある。